茶缶製造の歴史は古く明治初期には京都で輸入された灯油の缶を洗って伸ばし作り始めます。
その後、全国各地で金物業者が手作業で少量の缶を製造していきます。(※)
さて、お茶と言えば緑茶の事を言うように日本人なら大好きな飲み物です。日本食との相性も言うに及ばず最近では健康志向が高まる中で見直されています。
代表的産地の一番に静岡が思い浮かびますが九州地方の勢力も侮れないと言われています。お茶は一年中飲まれていますが、新茶と呼ばれるその年の最初に摘み
取られる茶葉は昔から重宝がられ茶箱(木箱の内側に亜鉛引き鉄板が貼ってある)やダンボールに荷造りされ全国へ送られます。そしてお茶屋さんで個別に包装
されて消費者のところに届きます。お茶を保存する容器は昔から変わりません。茶飲料缶や茶のペットボトル化によって様々な飲み方が増えていますが、茶葉は
ブリキ缶に入れて保存する習慣は変わっていないのです。
深絞りの蓋を開けると胴体のフチの部分に中蓋が付いています。外すと茶葉が重なり合うように入っています。片手
で缶を傾けると少しづつ茶葉が出てきます。もう一方の手で深絞りの蓋を持ってこぼれないように適量の茶葉を取り出します。急須に直接入れるのではなく一
端、蓋に取り分けるのは当然の行為と思っていました。
ところが煎茶や抹茶の作法では茶さじや茶杓を使うのです。お茶の数え方は一枚、一個、一粒と言いません。1g、100gとグラムで呼ばれます。
急須に入れるときに計りに乗せてから入れませんね。 |
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多すぎるのか、少なすぎるのか、家庭での丁度いい具合を深い絞り蓋に取り出したとき、のぞき込んで決めるのです。残った茶葉は傾けた缶を元に戻すとサラサ
ラと缶の奥に収まっていきます。一回の使用量が10gとして一日20g程度では200gで10日間掛かります。あなたの家では誰がお茶を入れるのでしょ
う?作法は無用、朝食に夕食にほっと一息家族の語らいをお茶は演出して来ました。それを茶缶はずっと見てきたかも知れません。なが〜く
おいし〜く飲めることは幸せの証拠です。そのためにはスチール製の茶缶(遮光性、機密性に優れた)に入れておくことが一番!ふか〜い歴史のある緑茶が飲み
続けられる限り茶缶はパートナーであり続けることでしょう。
平成18年7月1日
全日本一般缶工業団体連合会 エコロジーレポート第9号
協力/(有)鳥居製缶
※(参考文献) 一般缶製造業の技術と歩み(東日本一般缶工業協同組合)